各種メディアへの掲載、建物の受賞等、オープンシステムに関する情報です。
▲トップページ
>
▲オープンネットニュース
続 建築革命宣言!『思いを形にする』―くらしの工房での住宅設計への取り組みD
「CCI」 2007年12月号 設計者自らが遊び心を持ち、施主に提案していくことで、
予算が無い中でも思い出に残る家づくりが続けられる。 /くらしの工房 田中 清 氏
『続 建築革命宣言!』
〜オープンシステム/ピュアCMに挑む建築士たち〜
『思いを形にする』
―くらしの工房での住宅設計への取り組みD
設計者自らが遊び心を持ち、施主に提案していくことで、
予算が無い中でも思い出に残る家づくりが続けられる。
寄稿
くらしの工房
田中 清 氏
●事例集
ここ20年くらいの間に、住宅を構成する材料の部品化がめまぐるしく、システムキッチン、システムバスをはじめ、フローリングや巾木、家具、建具、畳にいたるまで、メーカーのカタログから図面へ、品番を転記すれば、ほぼ一棟の住宅が構成される状況になってきています。
そして商品の品質の向上、低価格化という状況を踏まえ、住宅設計者としては、これらの商品に対する知識を得た上で、自然素材や現場製作部材の採用を検討していくことが必要です…。
と、わかってはいるのですが、モノ造りが好きで建築設計の道を選んだ者にとっては、施主からの要望に対し、ご希望を満たすことができる製品がないので諦めてくださいとは、口が裂けても言いたくないのが性分です。
また、われわれに設計の依頼をいただく施主さんの殆どは、ローコストで尚且つこだわりを十二分に発揮したいという方たちです。
写真はトイレの手洗いですが、一番安価に済ませるには、便器本体に手洗い機能が付いたものを選ぶのが手っ取り早い。でも、それでは面白くないので、昔ながらの隅に取り付く手洗い器を普通に取り付け、水撥ねしやすい部分にはモザイクタイルを貼りアクセントに、そして三角の木製カウンターを取り付けるだけで、一味違ったトイレ手洗いが出来上がりました。
予算が無いという状況に陥った時、単に安い既製品を紹介し、施主を説得するのではなく、設計者自らが遊び心を持ち、提案していくことで、思い出に残る家づくりが続けられるのだと信じています。
今回は、施主との設計打ち合わせの中から生まれてきた事例から、面白そうなものをピックアップしてみました。
●玄関のスリッパ収納はさりげなく[1]
施主との打ち合せの中で、スリッパの収納についての話題になり、靴と一緒に下足収納に平置きするのも、上履きだけに気になるし、かといって、せっかく自由につくれる家の玄関に、既製品のスリッパ立てがあるのもなんだかもったいないということで、姿見を扉にして内部にスリッパを収納できるようにしました。
扉の開き勝手は、玄関土間側を吊元にし、来客からは収納されたスリッパを見せないという工夫もしています。初めて訪れるお客さんの殆どの方が驚かれるそうで、会話のきっかけは、このスリッパ収納の話題からが多いそうです。
●玄関のスリッパ収納はさりげなく[2]
宅配の受け取りの際の判子や、靴のメンテナンス用品等、下足収納の中にしまっておきたいものは結構あるものですが、靴を置いてある可動棚に横並びに収納するとどうも収まりが悪いということで、下足収納の一区画をスライドして収納できるようにしました。
上下にはスリッパを収納できるようにし、夏物、冬物のスリッパを区分けできるようにしました。スライドレール金物は、ドイツ製の高価なものですが、隔て板、カウンター材の組み立てを大工工事にし、扉は木製建具工事で取り付けすることで、コストダウンを図っています。
●タタミダイニングでも、対面キッチン!?
キッチンとダイニングの計画をするとき、食事は椅子に座ってテーブルでとるか、畳に座って座卓でとるかで、キッチンの向きや、独立性に大きく影響を与えます。
畳にした場合に一番苦労するのが、キッチンで作業される方と、ダイニングに座っておられる家族の目線の高さの違いをどう処理するかです。この計画では、畳を敷いたダイニングの床面を35センチ高くすることで、椅子に座った時の目線の高さに近づけています。
テーブル部分は堀座卓にし、足を入れる部分に温水床暖房パネルを設置して、コタツのような快適性があります。テーブル上部の四角い箱の内部には、換気扇と照明器具が仕込まれており、鍋料理や炭焼き料理を、匂いを気にすることなく楽しんでいただけます。小上がりになった段差部には、もちろん床収納を設置しています。
●アイランドキッチンはトータルデザインが命
住宅を構成する部材の中で、国内メーカーによるシステムキッチンの性能の向上はめざましいものがあり、家具業者にキッチンを製作依頼するケースは激減してきています。この計画では、国内大手メーカーに対し、アイランド部分の本体のみを特注し、その他の部分は大工造作にて製作しました。
キッチン本体の面材は、メーカー標準のものを選び、その他の造作部材はできるだけその面材に近いものにし、扉に取り付く取手については、気に入ったものをキッチンメーカーに支給することで、他の扉との違和感を無くしています。また、電子レンジや炊飯器などの機器も全て収納できるように計画し、日頃の生活の中でもアイランドキッチンの宿命である、スッキリ感を保持できるように工夫しています。
●手づくりキッチン
住宅の計画の中で、キッチン計画は施主さんの好みが大きく反映される部分だと思います。この計画では、当初からデザイン性を重視され輸入キッチンをご希望されていたのですが、価格の面で予算と大幅な開きがありました。
なぜその輸入キッチンが良いと思われたのか?キッチンに対して、こだわること、そうでないことを、細かくヒアリングしていくと、天板が木製であること、レンジは輸入品を絶対使いたいこと、収納する食器類は気に入ったものしか購入しないので数が少ないことがわかりました。
ご要望事項だけを満たすなら、大工と木製建具、設備業者での現場コラボレーションで作り上げたキッチンでも満足してもらえると確信し、写真のようなキッチンを製作しました。結果的に、当初計画していた輸入キッチンの1/4の価格でキッチンをつくることが出来ました。
●とことん収納:階段編
家づくりの参考書には、床面積の○パーセントの収納面積を確保することが望ましいと書いてあることがあるのですが、実際は施主さんの生活スタイルにより違いがあるのは確かで、また何を、どこに収納するのかということが非常に重要だと思います。
この計画では、二人のお子さんの学校での図画や、遠足のしおりなど全て残してあげたいという思いがあり、大きな納戸に乱暴に収納するのではなく、小さく小分けに収納するために、階段の蹴込み部分を引き出しにして収納をつくりました。
●オリジナル和紙照明
木造住宅の場合、構造材を化粧で見せることを良くするのですが、天井の梁を露出した場合、デザインがしっくりくる照明器具が無くて、写真のような和紙照明をつくることが多いです。和紙のシェードは、100%くらしの工房の内作で、薄手の和紙に40センチピッチ程度に、木製の骨を貼り付けてつくります。
梁のサイドにはカーテンレールを取り付け、照明器具の交換時には和紙シェードが折畳めるようになっており、内部の照明器具も安価なストレートタイプの蛍光灯を採用することで、コスト的にも数万円でこの照明器具が出来上がります。
●枝付大黒柱
できるだけ天然素材で家をつくりたいと考えられる施主さんが増えてきています。写真の住宅の計画では、国産の構造材、造作材、床材を使うこと、さらにそれらの木材が、天然乾燥された木材であることを求められました。
施主さん自らも、天然乾燥に取り組んでいる産地に出向かれ、産地の声を直接聞かれるなど、非常に熱心に家づくりに取り組まれ、静岡県天竜市の木材を使うことに決定しました。
施主さんとの打ち合せの中で、この建物に対する思いを、具体的な形として残せればということで、リビングの中心部にある柱を、枝付の丸太にしましょうと提案し、そして実現したものです。プレカット承認間際の申し入れに対して、木材産地でも、この提案に快く応じていただき、写真のような枝付の丸太材を探していただきました。これらのやり取り全て、施主、設計者、木材産地の三者が共有し、それぞれの思いがこもった住宅になったと思います。
●窓も欲しいけど鏡も欲しい
洗面脱衣室では、洗面台と洗濯機や収納が横並びし、採光換気の為の開口部の場所を確保するのに苦労します。この計画では、通常鏡を設置する洗面台の正面に開口部を設け、サイドに設けられたメディシングボックスの扉の内側に鏡を貼り、扉を開けることで鏡が出現するという工夫をしました。
扉開閉には隠し丁番を使用することで、鏡を見る時にも丁番が見えないようにしています。
【過去のCCI 】
2007年1月号
/
2007年2月号
/
2007年3月号
/
2007年4月号
/
2007年5月号
/
2007年6月号
/
2007年7月号
/
2007年8月号
/
2007年9月号
/
2007年9月号
/
2007年10月号
/
2007年11月号
【CCI 】
CCI
とは・・・「設計・デザインに携わる方の建築系製品情報誌」です。
※
CCI
は、以下のHPで登録することができます。
http://www.cosmogroup.co.jp/
(コスモ・ブレインズHP)
発行媒体のご案内 ⇒ 『CCI』 ⇒ 購読申し込みのご案内
※
CCI
は、全国の建築設計事務所に無料で送っています。
※
CCI
は、現在、約2万2千部の発行部数を誇っています。
掲載者
関連HP
----- Index -----
トップページ
オープンシステムって何?
設計事務所の紹介
設計事務所とお見合い
建物の事例
家づくり奮戦記(建築主の記録)
講演会・説明会・イベント
オープンシステム建物登録制度
オープンネット鰍ノついて
『Index』から選択し、『Go!』をクリックして下さい。
[Privacy Policy]
[お問い合わせ]