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建築革命宣言!価格の見えるグッドデザイン(7)
  「CCI」 2006年11月号 OS#06「ECO-TUBE #04」/(株)アトリエ・ラッツ 代表取締役 古後 信二

CCI 2006年11月号


続 『建築革命宣言!』 〜オープンシステム/ピュアCMに挑む建築士たち〜

価格の見えるグッドデザイン

第7回 OS#06「ECO-TUBE #04」


寄稿
株式会社アトリエ・ラッツ 一級建築士事務所
代表取締役・最高経営責任者
古後 信二 氏
ECO-TUBE#04 外観

●ECO-TUBE #04

 今回、初めての試みとしてユニットケーブルを導入した。「ユニットケーブル」とは、電灯、コンセント、スイッチなどのケーブルが工場でユニット化されたものである。

 ハウスメーカーなどでは、ユニットケーブルの導入が進んでいる。たまたま、このユニットケーブルの製造を行っている会社が大分市にあり、オープンネットとのコラボレーションの模索がスタートしていた。

 ケーススタディ事例として、打合せ等がスムーズな我々の物件が適用された。設計段階において、我々でユニットケーブルのユニット数と配線長さを割り出した。

 配線の工程がスムーズになり、結線作業が激減し、品質も向上したといえる。作業人工などのデータをオープンネットに提出し、今後に生かしてもらっている。

●家庭用燃料電池

 もうひとつの大きな試みとして、家庭用燃料電池の導入を行った。クライアントが勤務する会社において、ガスをベースとした家庭用燃料電池の普及を図っている関係があり、当物件が新築物件のモニターとして白羽の矢がたったのである。

 プロパンガスをベースとした燃料電池は、エネルギー変換効率が高く、災害時の復旧も早いというメリットがある。

 配線や配管、本体の設置スペースなどの検証を行い、先行配管。入居後数ヶ月たってから、導入した。

 目下、データを記録しながら、その実力を確認している段階である。発電と給湯のバランスが重要であり、データを蓄積しながら自己学習する仕組みである。

 時期を見計らい、大々的にオープンハウスを開催させていただく事となっている。
 
ECO-TUBE#04 外観

●ユニットケーブル

 「ECO-TUBE #04」は大分市において2006年03月に完成した夫婦+子供2人のための専用住宅である。

 2004年度にグッドデザイン賞を受賞した「エコ・チューブ」シリーズの第4弾である。

 「エコ・チューブ」シリーズは、長方形断面のチューブ状のスケルトンを自在に組み合わせて構築するある種のプレタポルテ住宅である。

 クライアントはネット経由でオープンシステムを知り、我々にコンタクトをとっていただいた。と同時に、我々の作風にほれ込んでいただき、完成までの期間、我々のオープンハウスにはほとんど参加していただきながら、信頼関係を構築させていただいた。

●変形敷地

 大分市郊外の典型的な住宅地であるが、変形した三角形という特徴があった。3辺のうち、2辺は擁壁であり、三角形の頂点からアプローチする、というような形状であった。眺望がよく、魅力のある土地でもあった。

 我々建築家にとって、とたんに意欲の沸く敷地といっていい。最大の長さを持つ敷地境界線に沿う形で1本のチューブを配し、直行するかたちで、北側に2層分のチューブ、南側に1層のちいさなチューブを配して、中庭を構成している。Fの字のような平面構成である。
 
ECO-TUBE#04 インテリア1

●施主工事

 今回、施主工事として、塗装工事の一部と左官工事の一部を実際に行った。

 家族そろって壁の珪藻土をローラーで塗るひとこまがあり、深夜遅くまで、我々と御主人で、床の塗装を行った。

 いい記念となっただろう。今後もメンテナンスは施主自ら行う姿を見る事ができそうである。

●施主と職人さんのコミュニケーション

 完成後、我々を中庭でのバーベキューに御招待頂いた。

 出会いから完成までを振り返り、深夜まで楽しいひとときを過ごさせていただいた。おまけに和室に宿泊させていただいた。引渡し後に宿泊する機会はそんなに沢山はない。住み心地を体感するいい機会でもある。

 自画自賛となるが、気持ちのいい住まいであった。

 我々だけではない。職人さんも個別に御招待いただいたようである。我々を経由せずに、ダイレクトに職人さんとの交流が広がる。オープンシステムの醍醐味の一つであろう。
 
ECO-TUBE#04 インテリア2・3

●総括

 12月から3月末までの約4ヶ月という標準的な工期。アトリエ・ラッツの担当である深見暢祐にとって、初めてのオープンシステムであった。

 オープンシステムを完全に理解できた理想的な施主とのコラボレーション。我々にとっても至福の時を過ごさせていただいたといっていい。

 今回は、これまでの総括といった意味合いもあり、担当の深見君にじっくりと取り組んでもらった。

 各種の資料をオープンネットに提出し、我々の業務の精度をじっくりと精査していただいている。

 専門業者さんとの関係性もしっかりとしてきたように思う。

●ネットワークとコラボレーション

 新しい展開として、愛知県の方からの依頼があった。

 我々のエコキューブにひとめぼれしていただいた事がきっかけである。遠隔地という事もあり、当初は通常の設計監理手法で取り組む前提であったが、施主もオープンシステム手法に理想を見出し、遠隔地での取組みがスタートした。問題は距離である。
 

●データ
■#015 ECO-TUBE#04
 所在地/大分県大分市田尻南
 主要用途/専用住宅
■設計
 設計・監理/株式会社アトリエ・ラッツ 一級建築士事務所
■施工
 オープンシステム(分離発注方式)
 CM/株式会社アトリエ・ラッツ 一級建築士事務所 CM部
 地盤調査/キューキ工業
 仮設工事/二豊ウイング
 特殊基礎工事/キューキ工業
 基礎工事/長工業
 大工工事/矢川辰樹、薬師寺薫
 塗装工事/東青塗工
 左官・タイル工事/黒田建商
 板金工事/大好産業
 金属製建具工事/九州新日軽
 木製建具工事/瑞木産業
 造作家具工事/佐藤家具製作所
 金物工事/東部九州立山
 鉄骨工事/黒田建商
 電気設備工事/玉井電工社
 機械設備工事/ワークスサカイ
 美装工事/富永産業
 廃材処理/九州環境管理(株)
■構造・構法
 構造/在来木造
 特殊基礎/鋼管杭工法
 基礎/ベタ基礎
■規模
 階数/地上2階
 最高の高さ/5.95m
 敷地面積/303.72u(91.87坪)
 建築面積/89.27u(27.00坪)
(建ペイ率29.39% < 許容50%)
 延床面積/108.47u(32.81坪)
 (容積率35.71% < 許容100%)
  1階/85.29u(25.80坪)
  2階/23.18u(7.01坪)
 施工床面積/140.95u(42.63坪)
■工程
 設計期間/2005年09月〜2005年12月
 工事期間/2005年12月〜2005年03月
■敷地条件
 用途地域等/第1種低層住居専用地域
 防火地域/指定無し
 道路幅員/6m
■外部仕上
 屋根/ガルバリウム鋼板縦ハゼ葺
 外壁/カラーガルバリウム鋼板大波横張
 開口部/アルミサッシ
 外構/砂利敷き
■内部仕上
 1階
  床/ナラ無垢フローリングt=15
  壁/石膏ボードt=12.5+珪藻土クロス貼
  天井/石膏ボードt=9.5+珪藻土クロス貼
 2階
  床/ナラ無垢フローリングt=15
  壁/石膏ボードt=12.5+珪藻土クロス貼
  天井/石膏ボードt=9.5+珪藻土クロス貼
■設備システム
 空調  冷暖房方式/エアコン
 給排水 給水方式/上水道直結
     排水方式/公共下水
     給湯方式/電気温水機
■主な使用機器
 衛生機器/TOTO
 浴槽/TOTO
 厨房機器/NAS
 照明/松下電工
■コスト
 建築本体工費 2,500万円(税込)
 坪単価 58.64万円/坪
(建築本体工事/施工床)

●出展
「+A・大分の建築家展」(大分、2006.03.26-04.02)
「第3回未来をのぞく住宅展」(大分、2006.06.02-04)
「第2回未来をのぞく住宅展」(北九州、2006.07.08-09)
「第5回未来をのぞく住宅展」(山口、2006.09.16-18)
「+A・大分の建築家巡回展」(佐伯市、2006.09.30-10.01)
「+A・大分の建築家巡回展」(日田市、2006.10.14-15)
「+A・大分の建築家巡回展」(中津市、2006.10.28-29)
「+A・大分の建築家巡回展」(豊後高田市、2006.12.02-03)

 
 
DATA
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古後 信二(37歳)
(株)アトリエ・ラッツ一級建築士事務所
 代表取締役・最高経営責任者
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■プロフィール
1969年  大分県玖珠町生まれ。
1992年  大分大学工学部建設工学科 卒業。
1994年  大分大学大学院 修了。(佐藤誠治建築・都市計画ゼミ)
1998年  アトリエ・ラッツ 設立。
1999年  オープンシステムネットワーク会議 会員
2004年  四日市門前町まちづくり協議会顧問 就任。
2005年  有限会社アトリエ・ラッツ代表取締役 就任。
2006年  大分大学大学院非常勤講師 就任。
      日本建築家協会九州支部 幹事就任。
      株式会社アトリエ・ラッツ代表取締役
      最高経営責任者 就任。
      日本コンストラクションマネジメント協会 九州支部幹事就任
      オープンネットCPD研修委員
      日本建築家協会UIA東京大会実行委員
      がんばれ大分社会貢献ファンド・大分地区地域活性化協働推進会議委員

所属:(社)日本建築家協会、(社)日本建築学会、
    (社)日本商環境設計家協会、日本CM協会
    オープンシステムネットワーク会議
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■連絡先
(株)アトリエ・ラッツ一級建築士事務所
大分県大分市上宗方1996番地の1 K-SOHO 101

TEL:097-542-7430
FAX:097-542-7430
E-mail:rats@oct-net.ne.jp
URL:http://www.open-net.jp/site/page/jimusho/japan/kyusyu/ooita/rats/
 
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