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「CCI」 2006年4月号・・・オープンシステムネットワーク会議
フットワークの軽さ、レスポンスの良さ、多様な人間の集まるオープンシステムネットワーク会議は無限の可能性を持った集まりだと思う。/(株)本間総合計画 代表取締役 本間 貴史 氏
続 『建築革命宣言!』 〜オープンシステム/ピュアCMに挑む建築士たち〜
オープンシステムネットワーク会議
フットワークの軽さ、レスポンスの良さ、多様な人間の集まるオープンシステムネットワーク会議は
無限の可能性を持った集まりだと思う。
寄稿
(株)本間総合計画 代表取締役
本間 貴史 氏
●オープンシステムネットワーク会議
オープンシステムネットワーク会議(以下、OS会議)。ここでは北海道から沖縄まで全国300を超える設計事務所が集い、日々、メーリングリストにて様々な意見交換が行われている。旬な話題で激論を交わす場になることもあれば、日々の業務における疑問が投げかけられ、それに対する懇切丁寧な何通ものアドバイスが寄せられることもしばしばである。
筆者は現在、JIA・建築学会・建築士会等、他の団体にも所属しているが、フットワークの軽さやレスポンスの良さは、メーリングリストという媒体を通している為か、この団体は群を抜いていると思う。
今回は、OS会議を通しての様々な出会い、試み、建築との関わり、そして今後の展望について述べ、私の連載を締めくくりたいと思う。
●建築家5人展
OS会議は、多様な人間が集まっている。設計畑だけを歩いてきた人もいれば、以前は工務店の現場監督だった人、ハウスメーカー勤務だった人もいる。そうであるからこそ、偏ることなくあらゆる角度・視点から出される意見によって活性化され、日々、変化をとげるおもしろい団体だと思う。
2002年の秋、年に1度開催されるOS会議の全国大会で、どこか同じ色を持つというかウマが合う若手の仲間が自然と集まり意気投合した。やがて、神奈川を活動拠点にしているメンバー3人が中心となり、大分のメンバー、そして仙台から筆者の5人で展覧会を開催しようということになった。展覧会の名称は“建築家5人展”である。テーマは『プロトタイプハウス〜再生/リ・ユースデザインへの試み』で、2003年の秋に横浜赤レンガ倉庫での開催となった。
私が出展したのは、かねてより取り組んでいた汎用型木造SI構造によるプロトタイプの提案だった。特殊工法ではない、普通の大工さんでも造ることが出来る木造在来軸組工法のSI化である。
ひとつは『outer shell house』。これは本誌3月号でも述べたが、外周部のみに耐力壁を設け中断面の梁により大スパンを飛ばし、内部を無柱空間にすることによって空間の自由度を高めている。
そしてもうひとつは『inner tube house』。これは、すべての耐力壁を中央部に集中させコアチューブで支える構造をとり、外周部に耐力壁を持たないことで、周辺環境への自由度を高めている。水廻りを中心としたコアチューブ方式により、パブリックエリア、プライベートエリアといずれの配置も自由になり、外壁面4面すべて開口部とすることも可能になるものだ。
また、OS会議によって知り合い、ここに集まった5人のなかでも、特に大分の古後氏の存在はおもしろい。彼は、日本建築学会作品選集やグッドデザイン賞等、数々の受賞歴を持つ気鋭の建築家である。彼の純粋な人間性もさることながら、建築に対するストイックなまでの姿勢には、常に畏敬の念を抱かずにはいられない。彼の作品を観るたびにいつも強烈な刺激を受けている。
この“5人展”の開催時は台風の時期で、運悪く台風15号の風雨に見舞われた2日間だったが、延べ600人もの方が来場された。短い準備期間だったにも拘らず、ひとつのテーマに5人それぞれの個性が充分に発揮されたと思う。神奈川・大分・仙台と活動拠点も異なる5人がこのようなかたちで集まり、発表の場を持てたことに心から感謝している。
●地域活動(OS宮城・OS東北会議)
同業者ですら、CM分離発注に対して「建築家たるもの、施工に手を出すとは嘆かわしい。」等と、建築家が工務店の代わりをするものと誤解していることもある。CM分離発注という理解されにくい方法をエンドユーザーにどう説明していくのか?説明責任は建築業界に限らずどの業界でも強く云われ始めているが、CM分離発注の進め方が確立されていない日本では、建築の学校でも正式なカリキュラムとしては、ほとんど教えられていないのが現状だ。国土交通省監修のCM方式ガイドラインがやっと1冊出されたのも記憶に新しい。そんなレアな方法だけに説明が難しい。
これについては、オープンメール(全国の会員が参加できるメーリングリスト)でも度々話題になり、各会員の情報公開がとても参考になる。建築主は何を求め何に不満を持つのか。それによって問題点も明確になる。OS会議は、メーリングリストによって全国の会員からリアルタイムで情報が寄せられるが、この団体はバーチャルなだけの集団ではない。
筆者の活動拠点の宮城県では、県内の会員事務所が年に6〜7回ほど集って情報交換や意見交換を中心とした勉強会を行っている。かつては毎月集まっていたが、繁忙月などを除いて現在に至った。優良な、または粗悪な専門工事業者の情報もある程度ここで共有している。業者選定時や工事監理の参考になるし、地域に根ざした身近な情報だけに貴重な場である。また、東北6県の会員が集うOS東北会議も年に数回行われている。ここでは、主に全国会議への決議、トラブル事例の報告や取り組み等について話し合われる。各事務所で扱っている資料の書式などの勉強会も行われることもある。
これらの活動が、CM分離発注に取り組むうえで大いに役立っている。
●全国での活動(業務書類の研究)
一方、地域の枠を超え、更に会議体の枠からも外れた有志での活動も重要である。前述の建築家5人展もそのひとつだが、他にも昨年の12月、有志が集まり建築士業務委託契約書に関する勉強会を大阪で行った。全国各地の同じような思いを抱いているメンバーが、個々の事務所で使用している契約書を持ち寄り、自由に意見交換を行ったのだ。
日本の契約書は曖昧だとよく云われる。日本人的と云えばそれまでだが、かつて、AIA(アメリカ建築家協会)の標準契約書を目にした時、強気な印象を受けると共に極めて詳細な内容に驚いたものだ。それと比較して日本の契約書は、多くを語らないことを良しとしてきた日本人気質をそのまま反映してきたような気がしてならない。契約書の中身よりも契約したことに意義があるような契約観に基づいている。契約内容が曖昧過ぎるということは、建築主にとっても建築家にとっても良いことは一つも無いはず。CM分離発注では、特に建築家の責任を明確にすることが重要だと考えている。
これまで、筆者は契約書類の見直しや、業務完了報告書の特記に重要事項を明記する等、随時、改正を繰り返してきた。最近も弁護士に意見を請いながら、大幅な改正を行った。しかし、クレーム産業と云われるこの業界の中で、前例の少ないことをやっている以上、不安が全く無いとは云えなかった。そこで、いくつかの事務所に声をかけ大阪に集まったのだ。
前にも述べたが、オープンシステムはフランチャイズではない。個々によってやり方は微妙に違って当たり前である。契約書にも個々の事務所の“色”が反映されていたが、参考になる部分も多く、非常に有意義な勉強会だった。このように、オープンネット事務局の働きかけではなく、個々の事務所が自発的により良いものを目指し、全国どこからでも集まって活動することがとても刺激になるし、是非このような機会を再び持ちたいと考えている。
●CM分離発注と研究開発
CM分離発注を行うことで、工法などの研究開発が比較的行い易いと、筆者は本誌で述べてきた。それは、建築家がコストコントロールのイニシアチブを持つことで可能性が拡大するからだと思う。
現在、緑内障による中途視覚障害の方の家に取り組んでいるが、ここでも分離発注を採用するメリットが発揮されようとしている。この家は、視覚以外の感覚による空間認識を重視した計画が為されている。現在(2006年3月)、実施設計を終え業者選定段階であり詳しい記述は避けるが、今回の計画を具現化するなかで、独自の研究開発を行おうとしている。統計的にも視覚障害者人口は、決して少なくないはずなのに、住居の研究はあまりにも立ち遅れている。
筆者はこれまで、進行性の筋ジストロフィーの方の家や、低周波音症候群の方の家、自閉症児の療育のための家等、建築家として関わっていく必要性を強く感じた事例に積極的に取り組んできた。
建築業界は、いわゆる段差をなくすとか手摺をつけるとか、バリアフリー等とひとくくりにされて入り込み易いものに関しては、急速に進化してきたように思う。しかし、ひとりひとり病状が違う医療を必要とする事例に関しては、置き去りにしてこなかっただろうか。事実、前例が無い。建材も開発されていない。ある大手建材メーカーに問い合わせたところ、「それは、タブーな領域です。」との返事が返ってきた。それならば、誰も踏み込もうとしない領域の住環境を整えていくことこそ、建築家の仕事にほかならないと、改めて気付かされたのである。
また、この案件は毎回の施主打合せに宮城高専の専攻科の学生が参加し、共に研究を進めている。近く、建築学会に発表する予定である。
●今後の展望
CM分離発注に取り組んで以来、私の事務所の中で変わったことがある。毎朝、ミーティング後に勉強会を行う習慣が付いたのだ。当事務所は、若いスタッフが多いので、基礎知識を身に付ける必要から始めたのがきっかけである。当初は、著名建築家の事例研究から始まり『心の引き出し』を増やす為の時間としていたが、最近は、工事監理において注意すべき点について学習している。これは、CM分離発注に取り組んでいなくても知っていなくてはいけないことだが、分離発注におけるCMrとしての監理者の責任を再認識する上でも、大切な時間だと考えている。そんな筆者の事務所をある専門工事業者さんが本間アカデミーなどと呼んでいたが、長い目で見れば、ゆるぎない技術力を身に付ける為の第一歩だと思っている。
『ピュアCMに挑む建築士たち』ということで6回に渡り連載してきた。私たちは、文字通り挑んでいるのだと思う。筆者は、CM分離発注は確立されたものではないと何度も述べてきた。そして、オープンシステムはフランチャイズではないことも。入会したからといって、ノウハウを容易に享受できるものではなく、受け身の姿勢では何も得られない。逆を云えば、動けば動くほど得るものが大きいということである。
他団体には見られない、実に様々な経歴を持つ人間の集まりであること。それは、オープンシステムネットワーク会議が無限の可能性を秘めている証であり、その可能性の芽を育てるのも摘んでしまうのも、私たち会員ひとりひとりの姿勢にかかっている。私たちひとりひとりが、本気でCM分離発注に挑んでいくことで、一歩一歩前進してゆけるのだと思う。
最後に、このような連載の機会を与えてくれた関係者の方々、そして建築主の方々に心より御礼を申し上げたいと思う。
DATA
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本間 貴史
(39歳)
竃{間総合計画 代表取締役
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■プロフィール
1966年 新潟県村上市生まれ。
1987年 国立宮城高専建築学科卒業。
針生承一建築研究所入社。
1990年 現事務所設立。
1996年〜 東北文化学園専門学校建築デザイン科 非常勤講師。
資格:一級建築士。一級建築施工管理技士。JIA登録建築家。
所属:(社)日本建築学会正会員。
(社)日本建築家協会正会員。
オープンシステムネットワーク会議正会員。
日本CM協会正会員。
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■連絡先
竃{間総合計画
宮城県仙台市泉区八乙女中央3-10-8-311
TEL:
022-371-6616
FAX:
022-371-6615
E-mail:
info@hom-ma.co.jp
URL:
http://www.open-net.jp/site/page/jimusho/japan/touhoku/miyagi/honma/
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