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インターネットで会社を変えられる本(P.88〜89)
(株)リクルート
「家を建てたい人」と「家を設計する人」の関係を
より強固にする新しいネットワーク
業界の悪習を見直すインターネット建築の試み
ハウスメーカーを通さず、設計士に直接依頼して個性的な住宅を立てる人が増えている。半既製品であるハウスメーカーの住宅に比べて割高な印象を受けるオーダーメイド住宅だが、武藤昌一さんは「それは間違いです」と強く否定している。
「個人住宅、商業ビルにかかわらず、建築業界は元請け・下請け・孫請けと連なる多重下請け構造で成り立っています。そのような従来型の建築は、ほとんどすべて無駄な中間コストがかかるやり方と見て間違いありません」
設計事務所の多くはゼネコンや工務店などから仕事を請け負う。これまでは顧客が設計士に直接依頼しようにも、設計士は建材の仕入れや工事業者との折衝ができないため、結局はゼネコンや工務店に頼む事になり、重層構造に組み込まれてしまうケースが少なくなかった。こうした不透明で風通しの悪い業界のシステムに疑問を抱いていた武藤さんが目をつけたのが、鳥取県米子市の建築家の発案で組織化された「オープンシステム」だった。
「オープンシステムとは、顧客(建築主)と設計事務所、工事業者、建材メーカーなどをイコールパートナーとして結ぶ建築ネットワークです。多重下請け構造の中間コストが存在しないという点が最大の特徴ですね」
このオープンシステムをネットによって展開させたのが、98年に設立された「オープンネット」である。一般顧客に対するPR効果はもとより、設計事務所同士の意見交換や工事業者、建材業者との連携など、このネットワークを利用するメリットは少なくない。顧客や設計士だけではなく、下請け業務で苦労してきた専門工事業者からの期待も大きい。技術力と実績を備えた業者は「GyousyaBank」としてネットワークに登録され、会員の設計事務所と契約を結ぶ。
「これまでの建築といえば、ひとヤマいくら、のどんぶり勘定が当たり前の世界でした。適正価格を無視して、それぞれが勝手に利ざやを稼いだり、元請けだけが儲かる仕組みになっていたりと不透明な部分が多かったのです。また、同業者が手を組み合う事で大規模な損害保険に加入することもできます。ですから大手企業ではないからという心配も無用です」
現在、115社の設計事務所が会員としてオープンネットに参加しているが、規模が大きくなれば日本の建築が変わるとまで言われている。将来的な目標会員数は2000社。それだけの規模になれば、「家を建てるときにはまずネットで」ということになるだろう。
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