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日本海新聞 2001年2月21日
日本海新聞社
住宅建築で合理的システム
元請け通さずコスト公開
Nワークで直接取引、全国で注目
米子市内の建築家が、建物を注文する建築主にとって見えにくい建築コストを公開した新しい仕組みの家づくり「オープンシステム」の提案を続け、全国で注目を集めている。業界内に賛同の輪が広がってネットワーク化が進み、建築実績を伸ばしているほか、このシステムを紹介した新刊本もベストセラーになっている。
紹介本もベストセラーに
この建築家は、米子市米原5丁目で設計事務所を営む山中省吾さん(47)。
オープンシステム提案のきっかけは、1992年春に担当したレストランの改装工事だった。見積りを依頼した工務店と完成を急ぐ建築主が工期をめぐって折り合わなかった。このため、元請けを通さず、建築主とともに専門工事業者に直接発注したところ、見積もりの工事費より2割安く、工期も予定通り終了。建築主は思い通りの建物が安くでき、工事代金を受け取った専門業者も早い入金に満足した。この体験を機に、元請け−下請けの関係に強い疑問がわいたという。
従来の建築方式は、住宅メーカーや工務店などの元請け会社が建築主と請負契約を結び、専門業者に仕事が回せれるなど元請け、下請け、孫請けといった多重下請け構造。建築主への請求の中にはモデルハウスの維持費、広告費など目に見えない費用が加算される。
これに対し、オープンシステムは元請け会社を通さず、建築主と委託契約を結んだ建築家が間に立って専門業者に分離発注する。1つの工事に対して複数の業者から見積もりを取り、その明細はすべて建築主に公開される。建築主が主体的に携わるため、手間がかかる分、建築への思いは十分反映されるという。
山中さんはオープンシステムの賛同者を募って98年秋、設計事務所のネットワーク会社「オープンネット」を設立した。現在は全国117社が加盟。資材メーカーや保険会社、土地家屋調査士なども顧問として参加し、メーカーと直接取引できる態勢を構築している。99年に40軒だった建築実績は昨年1年間で120軒に上った。
このシステムを広く知ってもらおうと、2月に出版した「価格の見える家づくり・こうすればいい家が安く建つ」(コスモ・リバティ発行)も都心などで人気を呼び、初版の2万部はすでに売り切れ。現在、増刷している。
山中さんは「過去150年に及ぶ世界の建築の歴史を再検証し、これから100年、200年続く建築方法を提案したい」と、オープンシステムを世界に広げる夢を抱いている。
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