A ハウスメーカーなどを通さず、基礎工事や外装、内装など、各専門工事会社と客が直接契約する「分離発注方式」が柱となっている。直接契約するので全体の費用を安く抑えることができるなどのメリットがあるよ。
Q 専門知識の乏しい一般の客が直接契約して大丈夫なの?
A 建築設計士がパートナーとなって、必要な情報を提供することが大前提だ。建築設計士は設計業務のほか、見積もりの分析、工事内容の検査など建築までのマネジメントを客と相談しながら進めていく。二人三脚で家を建てるやり方とも言えるね。
Q 専門工事会社はどうやって見つけるの?
A 建築設計士の有志でつくる「オープンシステムネットワーク会議」という全国組織がある。そこには各専門工事会社も多数、加盟している。ある建築設計士のところに住宅建築の依頼が入れば、建築設計士はインターネットを使って基礎工事や外装など、各工事会社を募る。業務を請け負う意思のある工事会社は各自の見積もり額を建築設計士に提示し、後は建築設計士と客が相談しながら各工事会社を決めるというやり方になっている。
Q オープンシステムのメリットはほかにどんなことがあるの?
A 「客の立場での家造り」が基本テーマとなっており、窓の向きや風呂の広さなど、建築設計士も予算内でできるだけ客のリクエストに沿う設計を考える。常に各工事会社の見積もり額とにらめっこしながら進めていくから、金銭的なストレスは少ないし、より自分の意向に合う家造りが期待できる。
Q でも逐一、専門工事会社と契約するのって、少し面倒だね。
A そうだね。オープンシステムの場合、通常は打ち合わせと図面作成に半年、建築に半年の計一年ほどかかる。ただし、仕事の都合などでほとんど打ち合わせの時間が取れないという人も少なくない。忙しい人には不向きかもしれない。
Q でも、家造りの際に、一括発注方式以外の選択肢が増えたということは言えそうだね。
A その通り。オープンシステムは日本ではわずか十数年前に鳥取県で始まったやり方で、まだまだ歴史は浅いけど、欧米では一般的な方法でもあるんだ。県内では11月に「住まいる講座」と題してオープンシステムの概要を説明する講座も開かれた。家は一生の買い物でもあるから、客も建築設計士、メーカーも誰だってできうる限り、良い家を建てたい。そのためにも、客にとって選択肢が増えたのは良いことだと思うよ。