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中日新聞 2004年3月23日 ■北経随想■
  (株)みずほ建築事務所 山田 雄一 〜地域に根ざす建築士とは?〜

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北経随想
「地域に根ざす建築士とは?」 山田 雄一

写真 「本当の家づくり」。最近よく聞く言葉である。しかし、この言葉の意味は奥深い。なぜならばそこには、森林破壊や地球環境というところまでをも含んでいる言葉だからだ。

 最近のシックハウスの影響で、「自然素材の家」という言葉がよく聞かれる。確かに聞こえはいい。自然素材の木材等を中国やロシアからどんどん輸入する日本の商社。しかし、これは外国の森林破壊、砂漠化を助長していることにもなる。要するに「自分だけがいい」という考え方は、地球にとっては良くない、ということにつながっている時代にすでにきているのだと思う。

 この考え方に似ているのが、昨今の牛海綿状脳症(BSE)問題や高病原性鳥インフルエンザ問題だと思う。人間が食べるためだけに育てられる牛や鶏。それが地球の生態系にとって本当にいいことなのであろうか? 疑問である。これは、家づくりにも当然、言えることであろう。

 これらを踏まえて「本当の家づくり」というものを考えてほしい。住む場所の気候に合った木材を調達し、地元の腕のいい大工さんの手加工により自分の家を建てる。建てる人は、国産材を使うこと、大工さんの技術を伝承すること、さまざまな面で一役かっている。それに責びを感じてほしい。もちろん、国内の森林を計画的に植林して間伐していかねばいけない。そのようなことを総合的に企画、実践できるのが建築士であるはず。ただ、実践している人も少なからず全国規模ではおられるが、現在の日本の建築士はなかなかそこまでは踏み込めない。しかし一級建築士は、医師・弁護士と並ぶ日本三大国家資格でありもっともっとがんばらねばいけない。

 最近、家づくりに関しては、前記のことが実践できる手法、いわゆる分離発注での家づくりをしている設計事務所が徐々に増えてきている。これは、世界的視野で考えると当たり前のことである。瓦屋、左官屋、大工、電気屋、水道屋など二十数社の専門工事業者が元請け業者となり、施主と直接契約して家づくりを完成させるものである。設計事務所と施主はイコールパートナーという立場にある。家づくりにこだわりのある人、不透明なものは嫌という人々には、しっくりくる家づくりの手法である。

 建築士自らが、自分自身をある意味改革する勇気を持って、本当に世の中のためになにができるかを考え、行動すれば日本の家づくりは変わっていくと思う。このような考え方で「家づくり」、「まちづくり」をしていくことがひいては地域のため、日本のため、世界のためにつながっていくものと信じる今日このごろである。

 一生のうちでの大きな買い物、家づくり。また、一生のうちで何回もない自分の地区のまちづくり。建築士自身の自己改革も急務であるが、建築士をもっともっと巻き込んで、一緒に楽しみながら、可能性を広めていくことが重要であると感じる。     (一級建築士)


 やまだ・ゆういち 1987年、国立石川工業高等専門学校建築学料卒業後、東京の建設会社に就職。95年、金沢市のみずほ建築事務所に入社、取締役副所長。一級建築士、一級建築施工管理技士、一級土木施工管理技士。オープンシステムネットワーク全国会議北陸統括幹事。松任市みずほ1丁目。37歳。
掲載者 山田 雄一
関連HP http://www.open-net.jp/site/page/jimusho/japan/hokuriku/ishikawa/mizuho/

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