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[club 153] 連載5
 

----- Original Message -----
Sent: Wednesday, November 29, 2000 12:17 PM
Subject: [club 153] 連載5


オープンネットの山中です。

メーリングリストの性格上、短い文章のキャッチボールは
比較的上手く行くのですが、長い(重たい)文章が送られて
くると、受け取ったほうはどのような反応を示せば良いのか、
戸惑ってしまい、キャッチボールが中断することは良くあります。

私の「連載」がまさにそうゆうふうに働いているのかもしれませんが、
もう少し続けさせていただきます。このメーリングリストは
専門家も素人もいろいろな人が参加していて、自由に発言できる
のを特徴としています。連載の内容にもどんどん口を挟んでください。
違う考え方を持っている人がいるのは当然です。
そこからまた新しいメールのキャッチボールがはじまれば
このメーリングリストがより活かされるのではないでしょうか。

連載5

不透明でどこが悪いのか

 第3章で「一括で請負方式の場合は、スタート時点から不透明
さを内包している。日本の建築方式に始めから組みこまれている
遺伝子のようなものだ」と書いた。

 こういう考え方には当然反論もあるだろう。「不透明でどこが
悪いのだ。安く製造して(仕入れて)高く売る。それが企業の
目的であり、努力だろう。オープンにしてしまえば、利益が取れ
ないではないか」と。

 まったくその通りである。自由主義経済社会では原価がいくら
のものを、いくらで売買しようが自由である。建築を製造業や
販売業と同じと思うなら、それで良いとも思う。また、時代の
変化とともに住宅産業がそのような流れになりつつあるのも
事実である。

 ただし、住宅(建築)産業をどのように捉えるか、という企業
の姿勢に「売る」と「つくる」の違いが端的に現れるのではないか。

 家を車と同じ感覚で買うのなら、なにも建築家と共にコンセプト
を煮詰める必要はない。せいぜいアドバイスを受ける程度でよい。
カタログで間取りと外観、それに機能、性能をチェックして買う。
こういう家の買い方があってもよいと思う。現代の感覚にマッチ
しているので、これが主流になるだろうとも思う。実際、ハウス
メーカーが目指しているのはこの方向なのだろう。

 余談になるが、アメリカには日本のような大手ハウスメーカー
は無い。もちろん世界中を探しても無い。年間に数百棟も建てれば、
アメリカでは大手ハウスメーカーである。

 ところがアメリカでは、ずいぶん以前からカタログ(住宅プラン集)
で家を選ぶ方法が定着している。書店やホームセンターで住宅
プラン集を売っていて、その中の気に入った建物の設計図面を
購入することができる。1軒の住宅で500ドルから1000ドルくらい
払い込めば、住宅の設計図面が送られてくる。建築主はその図面を
ビルダー(日本でいえば大工、あるいは工務店)のところへ持って行き、
家を建てる。

 ここで日本のハウスメーカー(工務店も)と違うところは、
ビルダーは建物の原価と建物を完成させるために必要な経費を、
建築主に明確に示す。建材の販売会社にしても、2重3重の価格を
つくらない。一般の人が建築材料を買っても、ビルダーが買う価格
と同じ金額で買うことができる。
(実際は大口取引などはいくらかの差があるようだ)

 さて、ここで改めて考えてみよう。ハウスメーカー(工務店)
の商品は? アメリカのビルダーなら明快に答えるだろう。

 「オレたちの商品は技術さ。だから建築材料に価格を上乗せして
請求することはしない。それをやったら建材販売店と同じだ。
技術屋の名が廃る。だから技術料と工事費は明確に分ける」と。

 オープンシステムをはじめるずっと前から疑問だった。デザイン
会社はデザイン料を取りにくいから、印刷費にデザイン料を含めて
請求する。本当は1枚当たり5円の印刷代を7円にする。デザイン会社
が自分の事務所で印刷をしているのなら、デザイン料と印刷代が一緒
でも良いかもしれない。そうではなくて印刷会社に下請けとして外注する。
そしてデザイン料は印刷代の中から確保する。

 建築産業もこれと同じだ。技術を売っているのなら、技術料を
請求すれば良いではないか。そのほうが価格も不透明にならないし、
顧客の信頼も増すのではないだろうか。

 もう一度言う。「家を売る、買う」は表品を販売していて、
「家をつくる」は技術を売っている。

 今、建設産業は苦境に立たされている。利益が出ないとも
言われているが、諸経費200万円の見積書を提出して
「この200万円は値引きします」とか、ライバル会社が現れると
「最低価格に合わせるからわが社に」ということをやってきた。
「この工事は赤字だ」といっても誰が信じるだろうか。それなら
工事原価と経費を明確に提示して、工事を完成させるに必要な
技術料を受け取れば良いではないか。

 「ゼネコンやハウスメーカーや工務店が居なくても建築はできる!」
と確かに言った。それは事実である。既にオープンシステムで300軒
くらいの建築を完成させた。住宅が主だけれど、店舗もビルも
完成させた。元請(ゼネコンやハウスメーカー)が居なくても
建築はできた!

 だけど、「ゼネコンやハウスメーカーや工務店は必要ない」
とは言っていない。「顧客の要望に応えるような建設産業を、
新しい時代は求め始めているのでは」と言っているのだけど・・。

連載5終わり

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  ■業界常識を打ち破る 顧客主導の建築革命■
  これだ、これ! 待っていたんだ この仕組み
            夢が叶うぞ オープンで!
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