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[club 136] オープンネット倶楽部・連載(2)
 

----- Original Message -----
Sent: Friday, November 24, 2000 9:54 AM
Subject: [club 136] オープンネット倶楽部・連載(2)


オープンネット倶楽部の皆様

山中です。連載(1)はいかがでしたか。
スミレさんの疑問にもありましたが、断熱、気密、換気
をどのように考えるか、大変重要な問題です。
オープンシステムの設計者の中にも、外断熱推進派、自然素材採用派、
太陽エネルギー利用派など様々な立場から取組みが始まっています。
それぞれの立場から成果報告、あるいは反省点など具体例をあげながら、
断熱、気密、換気はどうあるべきかを主張していただけたら幸いです。

さて、今回は連載(2)です。

 ノートパソコンを「売る」ことが目的なら、
「これくらいの能力がないと後で困りますよ」
は殺し文句となる。

 パソコンは買い換えれば良いが、家はそうはいかない。
「これくらいの費用をかけないとあとで困りますよ」
というのは売るための殺し文句ではあるが、大事なことは
「総工費が高いから良い家」なのではなく
「どこに、どのくらいの費用を、何故かけるのか」
ということを明確にしてつくらなければ、けっして良い家
とはならないことだ。
 
 画像をあまり扱わない人に、容量の大きなパソコンを売っても意味がない。
出張が多くいつも持ち運ぶ人には「軽量」を考慮しなければならない。
あまり持ち運ぶことがない人には、キーボードのたたきやすい大きさや、
見やすい画面の大きさを考慮しなければならない。要するにどのような
使い方をするかによって、機種は選択されるべきである。

 たかがノートパソコンでも事前の検討は難しい。パソコン初心者には
できないだろう。家はこんなものじゃ済まない。住む人のコンセプトを
パターン化して、それに対応した間取りやデザイン、それに性能まで考
えた組み合わせを作り、製品化することは現実的に不可能である。
だから、最も多いと思われる顧客層をターゲットにして、限られた
パターンで商品化せざるを得ない。それがハウスメーカーの戦略だ。

 「高気密」と決めたらこれ一筋。高気密の方法にしても
「グラスウールと気密シート」と決めたらこれ一筋。工法は鉄骨と
決めたらこれ一筋。そしてこの住宅を売るために商品名を付ける。
例えば「マジェスタ」とか。これは車の名前だけど。これで
「家という商品」のでき上がりとなる。次に売るための戦略会議。
セールスポイントの勉強。これが「家を売る」という発想である。

 では、「家をつくる」とはどういうことか。一人ひとりの考え方
や性格が違うように、家族のライフスタイルも様々である。自然志向、
都市型志向、機能重視、豊かさ重視、デザイン重視、実質重視、
プライバシー重視、コミュニケーション重視、あるはそれの融合…。
生活には様々な志向性があり、また建物の要素も様々である。
さらに、周囲の環境、気候風土、土地の制約、資金の制約…。
それをらを熟考した上でコンセプトを整理し、設計を進めていくのが
「家をつくる」ということである。

 家を買う人はカタログやモデルハウスで選ぶことになるかもしれない。
家をつくる人は、まず自分の考え方をよく整理するところから始まる。
そして、自分の考え方をじっくりと聞いてくれて、自分の立場となって
考えてくれて、利益に左右されないで、豊富な建築知識と経験があって、
尚且つ金額が高くならないで…。エッ、そんな人いるの?

それって、もしかしたら、・・・。

オープンネット倶楽部・連載(2)終わり 次回をお楽しみに・・・。
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