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[club 13] オープンネットはなぜ安い(1)
 

----- Original Message -----
Sent: Friday, August 25, 2000 10:35 AM
Subject: [club 13] オープンネットはなぜ安い(1)


田口さん、

早速質問がきましたね。

> オープンネットの説明会に参加したことはあるのですが、
> 基本的に設計事務所が設計から施工管理まで行い、
> 各専門業者にバラバラに発注するということですよね。

基本的にはその通りですが、委任契約と請負い契約の違い
に着目しています。このMLは専門家以外の人も参加いて
いるので、少し詳しく説明させていただきます。

オープンシステムを理解するに当たって、最初の関門とな
るのが「建築士業務委託契約」かもしれません。これは設計
事務所が業務に着手する前に建築主と交すのが原則です。
この部分が分かれば、オープンシステムの80%は理解できた
といって良いのかもしれません。

「工事請負い契約」と「業務委託契約」。たかが契約形態の
違いでしかないと思うかもしれませんが、実はこの契約の仕方は、
右に進むか左進むかというくらい重要な選択になります。

住宅建築のほとんどは、ハウスメーカーや工務店と「工事請負い契約」
を交してつくられています。設計も施工も含めて一括で契約します。
これを業界用語では「設計施工」といいます。たぶん99%の住宅は
こうしてつくられているはずです。

設計と監理は、設計事務所(建築家)に依頼することもあります。
これは「設計と施工の分離」といいます。つまり、設計監理業務は
設計事務所と業務委託契約を交し、施工については施工会社と
工事請負い契約を交わしてつくられます。この設計施工の分離方式は、
住宅では極めて少数派となります。1%にもならないかもしれません。
ビルや店舗などはこの方式が多くなります。

設計施工方式にしても、設計施工分離方式にしても、いずれも工事に
関しては、やはりハウスメーカーや工務店と一括で請負い契約を結ぶ
ことに変わりはありません。

それに対してオープンシステムは、設計監理業務だけではなく、
分離発注を前提に専門工事会社から見積り徴収、施工会社の選定、
工事工程の調整を含めた建築全般の業務について委託契約を交わします。
つまり、施工に関しては従来の元請け会社に退いてもらうということが
前提なので、元請け会社が担ってきた機能を設計事務所や専門工事会社が
補完することになります。場合によっては建築主もできることを補完
します。

さて、元請け会社が抜けるということは、一体どのように捉えれば
よいのでしょうか。イメージとしては、建築主自身が元請けになった
という感じで良いのではないでしょうか。建築主は自分の建物のために
臨時の工務店(架空の)をつくり、自分が社長におさまったと思えば
よいでしょう。

ところが、臨時の社長におさまったのはよいが、この社長は建築の
専門的な能力が少々不足しています。他の工務店に丸ごと仕事を投げ
たのでは、建築費はよけい高くなります。品質管理も目が届かなく
なります。そこで、有能な技術者として建築家を臨時に雇った。
これがオープンシステムのイメージに近いのではないでしょうか。

建築主イコール臨時の社長なのですら、この建物に関する情報は
すべて社長に筒抜けになります。必然的に情報はすべてオープン。
臨時の社長はこの建築で、思う存分儲けるがよいでしょう。社長の
仕事は利益を追求することなのですから。ただし、儲けはすべて
建築主に還元されることになるのでありますが…???

さて、設計事務所が建築主と委任契約を交わし、建築主の代理人
として仕事を始める。建築主はまず最初の委任契約を交わすときに、
大きな戸惑いを覚える。それは、まだこの段階では、これからつく
ろうとしている建物の設計図面が何も無いからです。
「せめて設計図ができて、工事金額がはっきりしてから契約したい」
と言いたくなります。その気持ちも分からなくはありません。

ハウスメーカーや工務店に頼むと、設計や工事の見積りをサービスで
行なってくれます。だけどサービスで行なうことができるのは、
後に控えている工事でいくらでも挽回できるからということは
わかるでしょう。

サービスで行なっている手前、工事の見積書に設計費用などを計上
することはできなくなります。営業費用も広告費用もモデルハウス
を維持する費用も、その他諸経費も工事の見積書に計上することは
できなくなります。まして、サービスで行なった設計が受注に結び
付かなかったので、次のお客様からいただくなどということは。

そこで工事の明細を水増しして利益を捻出することになります。
だから一括で請負う方式の場合は、スタート時点から「不透明さ」
を内包しています。これは日本の建築方式に始めから組みこまれ
ている遺伝子のようなものではないでしょうか。

ひとつのことを不透明にすれば、その後も不透明の上にもっと
不透明な部分を重ねなければならなりません。一括で請負って
いるかぎり、よほど思いきった発想の転換をするか、世の中が
変化しないかぎり、建築建築主に情報をオープンにすることは
できないのが今の建築業界の苦悩ではないでしょうか。

建築の専門家ではない建築主も、こういう背景があることは容易
に理解することができるでしょう。ただ、頭の中では理解する
ことができても、オープンシステムの業務に必要な費用を提示されると、
どうしても受け入れることができない人もいます。サービスで
やってもらうほうが得だと、体が反応してしまうのです。
これは現在のオープンシステムが苦労していることですが、
これを乗り越えなければ、いつまで経っても本当の意味で建築主
は自分の建物に参加できないと思うからです。

ただ、建築主もいろいろな考え方があっても良いと思うので、
面倒くさいから、お金だけは用意するのであとはできあがった
結果だけを受け取れば良い、という人は従来型の一括請負いの
ほうが適しているかと思います。

一気に書いたので、読むほうは大変だと思います。前置きだけで
こんなに長くなってしまいました。価格も大事な要素で、建築主
にとっては最大の関心事かもしれませんが、そこだけしか見ない
と、もっと大事な本質を見失うとおもったからです。

何故安くなるか、については少し時間を置いて、今日中に私の
考え方を書きます。

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  ■業界常識を打ち破る 顧客主導の建築革命■
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